義塾の沿革

行学一如学校で学んだことを生活の中で実行する

　1892年（明治25年）、養蚕が主な産業であった小さな村、石川に福島県で最初の私学学校法人石川高等学校の前身石川義塾が誕生しました。本校創立者森嘉種の教育にかける志と、それを支えた地域の人々の希望でつくられたその小さな塾は、県内の高等教育機関まで交通が不便であったこの石川村に一筋の光をもたらしたのです。
　嘉種の教育理念は「人間いくら学問ができても、人格が備わっていなければならない。学問と行動が分離してはならないし、学んだことは実行されなければならない」というものでした。これは、禅の思想に由来する「行学一如」の一言に表されるもの。嘉種は常に教え子に「行学一如」を説き、また自らも、学問探求の熱意を持ち続けながら礼節などの徳目の実践に努めました。
　「行学一如」は石川義塾の建学の精神であり、創立から129年経った現在もかたく守られ、受け継がれています。

学校法人石川高等学校は
令和4年創立130周年を迎えます。 − 東日本の自由民権運動発祥の地石川町に二人の熱き教育者がいた −

　学法石川高等学校の前身石川義塾の創立には、校祖森嘉種の片腕となって尽力した吉田光一氏が大きく関わってます。吉田氏は石川の神官の家に生まれ、奥州一之宮石都々古和気神社の神官職を経て石川の区長となりました。その後、河野広中の自由民権思想に触れて共鳴。東日本で最初の政治結社石陽社を河野と共に設立し、石陽館という学校をつくって青少年の教育にあたりました。　その後、県議会議員を経て、1892年石川村の初代村長に就任。同年、本校校祖森嘉種の趣旨に共鳴して、共に石川義塾を創立。初代の塾主となりました。そもそも白河藩の儒学者を父に持ち水戸学派の流れをくむ嘉種と自由民権運動家の吉田氏とは、思想も立場も異なっていました。しかし「中等教育を受ける機会に恵まれない石川地方の子弟に中等教育を受けさせたい」という純粋な思いが二人を結びつけたのです。　思想を超えたこの結びつきは、「意欲のある者には学ぶ機会を与える」という石川義塾の学校としてのあり方をかたちづくりました。吉田氏は、創立3年後の1895年、この世を去ります。嘉種は当時の気持ちを「同人死亡ハ実ニ義塾の大不幸トスル所ナリ」と書き残しています。